2019-09-24

大阪城の石垣の1/3は、六甲の石だった!?

みなさん、大阪城を見学されたことはありますか。
私は、大阪城の石垣を目の前にすると、いつも「すげー」と感嘆します。
日本一の高さを誇る、石垣界のキング。 その雄大さにほれぼれしますし、先人の労力に頭が下がります。見たことない方は、ぜひ一度見てください。
で、この石垣は、どのぐらいの石が積み上げられているかというと……

数百万個

その数に驚くとともに、そんな大量な石をどこから持ってきたのかと不思議に思います。実は、大阪城近辺には良質な採石場はなく、近畿から瀬戸内海の島々、九州まで、さまざまなところから運ばれてきました。なかでも、六甲は人気の採石場でした。

天守閣も魅力ですが、石垣も素晴らしい

六甲の花崗岩は、良い石垣になる

石垣の石は、丈夫で加工しやい花崗岩が定番。
あちこちの花崗岩の採石場から運ばれてきたのですが、大阪から近くて良質の花崗岩が採れるのが「六甲の山々」
当時の人も、それを見逃すわけがなく、六甲からせっせと石を堀り出り、切り出し、運んで、石垣として積み上げていきました。
その数は石垣全体の約1/3とも言われています。約半数という説もあるみたいです。

ところで、この石垣を誰が作らせたかというと、
もちろん豊臣秀吉・・・ではなかったのです。。。

六甲の石のことを調べていて、衝撃の事実を知ってしまいました。

大阪城をつくったのは、誰だ!

疑いなく「豊臣」と答えていましたが、実は……

どちらも正解なのですが、いま残っている石垣をつくったのは、徳川幕府2代将軍「徳川秀忠」、3代将軍「徳川家光」でした。まさか東軍の徳川? 豊臣を滅ぼして大阪城を焼いてますやん。関西人の私には、信じられません。

大阪夏の陣で豊臣家を滅ぼした徳川幕府は、豊臣の象徴ともいえる大阪城の跡地に、さらに立派な城を築くことでその権威を示すとともに、西国支配の拠点にしようと考えたのです。

豊臣時代の石垣は、徳川幕府によって土が盛られ、今では見ることができません。その上に築づかれた石垣こそが、今、私たちが見ているもの。
なんか複雑な気持ちになるのは、私が関西人だからでしょうか……
ちなみに豊臣時代の石垣は発掘調査で見つかり、現在、一般公開するプロジェクトが進められています。

新大阪城の普請の総指揮を執ったのが、築城の名手「藤堂高虎」。そして実際に工事に携わったのが全63藩・64家の大名でした。特に豊臣恩顧である西国の大名が駆り出されたのですが、工事を通して藩の力を削ぐ狙いがあったようです。

石を求めて、いざ六甲へ

徳川に命じられて、渋々だったかは不明ですが、多くの大名が石材を求めたのは事実。特に、近場で良質の花崗岩が採れる「六甲」は、どの大名も注目したに違いありません。その証拠に、 六甲の採石場は多数の大名が共同利用していた異質な採石場だったようです。
さまざまな大名家が、みんなでこぞって石を切り出している現場をイメージするだけでちょっと面白いと思いました。

大名たちが採石を行った現場は、神戸市東灘区から芦屋市、西宮市西部までにわたります。その一部の跡が現在も残っています。

けっこう広範囲ですよね。採石された石材は、川から海岸へ、そして海をわたって大阪に運ばれました。海岸の集石場跡も発見されています。
でも、この事実は、半世紀前になってようやく明らかになりました。こんな刻印の発見によって

石に刻まれた不思議なマーク

1969年のある日、受験勉強のリフレッシュをかねてハイキングに出かけた高校生が岩に刻まれている謎のマークを発見しました。それが、採石の際に大名家や産地を見分けるためにつけられた刻印だとわかり、東六甲が大阪城石垣の採石場だったことが判明しました。その後、地元の歴史研究団体を中心に調査がつづけられ、その全容が徐々に解明されています。

ちなみに、上記の刻印の意味はというと……文献などで見つけることができなかったのですが(リサーチ不足です!)、ただ発見された場所は長州藩毛利家が採石を行っていたと考えられています。

徳川大阪城の採石場跡は、登山道をはじめ、さまざまなところで見ることができます。登山道に転がっている岩が、実は江戸時代に採石された残石だったということも。

登山道にある岩が、実は単なる岩でないことも


その中でも、国の史跡として指定された甲山刻印群は、見学するのにオススメ。
ハイキングをかねて、ぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。
体験レポートはコチラ

【参考文献】

  • 『大阪城再築と東六甲の石切丁場』別冊ヒストリア 大阪歴史学会 2009
  • 『徳川大阪城東六甲採石場詳細分布調査報告書:甲山刻印群(通称仏性ヶ原) 』 西宮市教育委員会編 西宮市教育委員会 2018
  • 『大阪城全史』中村博司著 ちくま新書2018

そもそも花崗岩って何か気になる方はコチラ

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