2019-10-11

神戸の名水を飲んでみませんか。限定販売の「布引渓流の水」


みなさん、最近おいしい水に出会っていますか。神戸といえば昔から「おいしい水がある」地域として、様々なところで語られているのですが、その代表が「布引渓流の水」です!

たとえば、司馬遼太郎の『街道をゆく』では神戸の知人の話を介して

神戸に寄港する外国船のよろこびは、水槽の水を空っぽにして神戸の水をあふれるほど積むことだそうだ。船乗りたちはコウベ・ウォーターは世界一だというが、本当だろう。

司馬遼太郎 『街道をゆく』神戸・横浜散歩、芸備の道 「布引の水」 

と「布引渓流の水」を紹介しているなど、昔から名水として愛されてきました。
そんな「布引渓流の水」は、水道水の一部として供給されているのですが、どんな方でも楽しめるようにボトルウォーターとしても販売されています。
それが、上の写真です。


ところで、船乗りが愛した理由は「赤道をこえても腐らない、うまさが変わらない」からでした。

うまさが変わらないヒミツは?

腐らない、うまさが変わらない理由は、有機物いわば不純物が少ないからだ考えられています。もっと簡潔にいうと、水の汚れが少ないということ。これは「おいしい水」の不可欠な要件とされています。

さらに、おいしさを決めるのがミネラル。一般的に「おいしい」と感じるのは、ほどよいミネラル量と言われています。

それをチェックできる尺度のひとつが「硬度」です。
「硬度」とはカルシウムとマグネシウムの含有量のこと。この数字が50mg/l以下なら「軟水」と呼ばれ、クセがないまろやかでおいしい味わいになります。

布引渓流の水をチェックすると、27.8 mg/l 。ずばり軟水ですね。

※「おいしく」感じることは主観的なものなので、あくまで参考的なものとして捉えてください。

おいしさをつくる六甲の地形

おいしさのヒミツは、六甲の珍しい地形に理由があります。六甲の山々は、それほど高くないのですが、 海抜ゼロメートルから一気に隆起しているため、急峻で険しいです。
山側を歩いていると、本当に坂がキツくて、納得です!

一般的に急傾斜とされる斜度は、30度以上。六甲の南斜面だけを見ると、 その割合は約55%になるようです。

水の立場で考えると、ジェットコースターに乗っているみたいに急降下する感じでしょうか。めちゃ気持ちいい~という流れっぷりだと思います。

短距離を早いスピードで流れていくので、岩石と接する時間が少なく、不純物があまり付かないのです。

こんなイメージでしょうか

もうひとつの理由は、明治期の土木技術

実は、急峻は長所であって、短所でもあります。流れが速いと増水しやすく、土砂が下流に流れ込みやすくなり、不純物が多く付いてしまいます。

それを防ぐために、今から約120年前の1900年に、まずは水を貯めて増水しないようにするためのダム「布引五本松堰堤(布引貯水池)」が建設されました。このダムは、 大量のコンクリートによって水をせき止める「重力式コンクリートダム」として日本最古のもの。さらに、1908年には、ダムの上流に土砂と綺麗な水を分岐させる「分水堰堤」がつくられ、綺麗な水だけが 「布引五本松堰堤(布引貯水池)」 に流れ込む画期的なシステムが生まれました。この布引五本松堰堤や分水堰堤は現在、国の登録文化財に指定されています。

いわば明治期の最先端の土木技術によって「おいしい水」が守られたというわけです。名水は、自然と人間のコラボによって生まれたんですね。

布引五本松堰堤(布引貯水池) はストリートビューでもチェックできますよ。

おすすめの飲み方は?

「布引渓流の水」のような軟水は、コーヒーや紅茶、緑茶などに適しているといわれています。硬度が低いと、お茶やコーヒーの成分が溶け出しやすい性質があるからです。神戸でコーヒー文化が発展したのは、布引渓流の水の存在が大きかったのかもしれません。
ということで、コーヒーにしてみました。

艶のあるキレイな色に感動!
ちょうどよい酸味が感じられ、とてもおいしかったです!

購入できる場所は?

現在、布引渓流のボトルウォーターが販売されているのは、以下の6箇所。
立ち寄った際には、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
また、 神戸市水道局と企業がコラボし、布引渓流の水を使った商品の製造や販売も行われています。 今後そんな商品も紹介していきたいと思います。

  • 神戸市水の科学博物館 (神戸市兵庫区楠谷町37-1)
  • 神戸市総合インフォメーションセンター ( 神戸市中央区雲井通8 JR三宮駅 )
  • 道の駅 神戸フル-ツ・フラワ-パ-ク大沢 ファ-ムサ-カス・カフェ (神戸市北区大沢町上大沢2150 )
  • マツモトコーヒー( 神戸市兵庫区駅南通3−4−34) ネット購入も可能
  • HiTo Coffee Beans (神戸市兵庫区梅元町7-3)
  • たちばな職員研修センター(神戸市中央区橘通3丁目4番2号)自動販売機で購入可能


【参考文献】

  • 『六甲の地理ーその自然と暮らしー』共著 神戸新聞総合出版センター 1988
  • 『阪神・淡路島「高低差」地形散歩』 新之介著 洋泉社 2019
  • 『布引水源地水道施設記録誌』神戸市水道局 2006
  • 『地図と地形で楽しむ 神戸歴史散歩』都市研究会編 洋泉社 2018
  • 『そうだったのか!驚きの名水のチカラ』佐々木健著 地人書館 2017
  • 『街道をゆく21 神戸・横浜散歩 芸備の道』司馬遼太郎著 朝日文庫 2009

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